【コロナショック編】タイミング投資の限界。暴落を完璧に予知して逃げ切った私が、一番大切な「稲妻」を逃した話

投資

前回の記事で、リーマンショックでの退場からゾンビのように蘇り、「暴落が来たら気絶してやり過ごす」という技を身につけたお話をしました。

しかし、相場への耐性はついたものの、私の脳内スペックは相変わらず「値上がりしたら売って、お小遣いにして使う」という自転車操業ループから1ミリも抜け出せていませんでした。

そんなお小遣い稼ぎ最前線にいた私に、2020年、あの歴史的な大激震が襲いかかります。 そう、世界中を恐怖に陥れた「新型コロナウイルス(コロナショック)」です。

📖 目次

1. 人生初の「完璧な事前察知」と、華麗なる避難

2020年の年明け。2019年末に中国で発生した未知のウイルスが、じわじわと世界に広がり始めていました。

これまでの〇〇ショックは、いつも寝耳に水の大不意打ち。しかし、このコロナショックだけは違いました。日本国内で本格的なパニックになるまでに、わずかですが「時間的な猶予」があったのです。

2月半ば、横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での集団感染のニュースが連日メディアを騒がせ、都内でも少しずつ感染者が増え、不穏な空気が日本中を包み込んでいきました。

「……これは、ヤバい。今までのショックとは比べ物にならない嵐が来る」

数々の暴落で血を流してきた私の投資センサーが、激しく警報を鳴らしました。

私はすぐに行動を起こし、保有していた個別株のうち、一部のガチガチな高配当株だけを残して、すべてを売却し、現金化(キャッシュポジションの最大化)することに成功したのです。

結果は、大勝利。

直後、株式市場は文字通りの大暴落。阿鼻叫喚の相場を、私はぬくぬくと安全な現金のシェルターの中から高みの見物をしていました。

「フッ、ついに私もプロ投資家並みのリスク管理ができるようになったか……」

この時、私は完全に調子に乗っていました。この後に待ち受ける、もっと恐ろしいトラップ(罠)に気付きもせずに。

2. 「いつ買えばいいか、全くわからない」という地獄

暴落を完璧に回避した私を待っていたのは、「じゃあ、いつ市場に戻ればいいの?」という底なしの迷路でした。

当時は世界中でロックダウン(都市封鎖)が叫ばれ、未知のウイルスへの恐怖で誰もがパニック状態。明日の世界がどうなるかも分からない恐怖のどん底です。

「いつ株価の底が打つのか、見当もつかない。今買ったら、さらに奈落の底に落ちるかもしれない……」

現金を握りしめたまま、私は恐怖で完全にフリーズしていました。「安くなった個別株を買い増す」なんていう高尚な発想は、これっぽっちも湧いてきません。ただただ、嵐が去るのをじっと待つだけ。

そうして指をくわえて怯えているうちに、信じられない事態が起こります。

アメリカをはじめとする世界各国が、前代未聞の規模で「大規模な金融緩和(お金のばら撒き)」を決定。

あれだけ世界中が恐怖に震えていたにもかかわらず、株価はものすごい勢いで V字回復を始めたのです。

気がつけば、暴落からわずか半年足らずの8月頃には、株価はすっかり元の水準に戻っていました。

3. 稲妻の輝く瞬間に、私はそこにいなかった

「えっ、もう戻ったの……?」

呆然とチャートを見つめる私の手元には、大暴落を避けて守り抜いた、ただの「増えも減りもしない現金」が寂しく残されていました。

タイミング投資を試み、完璧に逃げ切ったはずの私は、今度は市場へ「再入場する機会」を完全に失ってしまったのです。

名著『敗者のゲーム』の著者チャールズ・エリスは、投資の世界において極めて重要な、こんな格言を残しています。

「投資家は、稲妻が輝く瞬間に、市場に居合わせなければならない」

「稲妻」とは、暴落の後に訪れる、急激な株価上昇の瞬間のこと。

市場のタイミングを計って売買しようとする人間は、暴落を避けられたとしても、この「最も資産が増える爆発的な上昇の瞬間」をも逃してしまう。だから、市場に居座り続けなければならない……という教えです。

数々のショックを乗り越え(気絶し)、それなりに経験を積んできたはずの私。

しかし、お小遣い稼ぎ脳だった私は、この時まさに「稲妻を完璧に逃す」という、教科書通りの大失態をやらかしたのです。

タイミングよく逃げて資産を守ることはできた。でも、それだけ。

市場の急回復による「特大の利益」という恩恵は、私の手から文字通り砂のようにこぼれ落ちていきました。

4. 「逃げ足の速さ」だけでは、お金は増えない

結局、コロナショックという歴史的な局面において、私の資産はこれっぽっちも増えませんでした。

この手痛い取りこぼしによって、私は再び、重い現実を突きつけられることになります。

  • 「暴落から気絶して耐えること」は覚えた。
  • 「危機を察知して逃げること」も(たまたま)できた。
  • けれど、「市場のタイミングを読んで売り買いしている限り、いつまで経っても資産を爆発的に増やすことはできない」。

お小遣い稼ぎの無限ループ、そしてタイミング投資の限界。

これらを身を以て痛感した私は、いよいよ「これまでのやり方じゃ、絶対に上には行けない」と、投資スタイルの根本的な変革を迫られることになるのです。

(つづく)

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