「R>Gって、実際にはどういうこと?」
「投資を続けると、本当にお金がお金を生むようになるの?」
「資産はいくらくらいになると、運用益の大きさを実感できるの?」
投資を始めたばかりの頃は、こんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
私自身、投資歴は22年になります。
投資を始めた当初の私は、株を買って値上がりしたら売る、利益が出れば「儲かった!」と喜ぶ……そんな売買を繰り返していました。
しかし、長く投資を続け、資産の規模が大きくなるにつれて、自分の中の感覚が少しずつ、でも確実に変化していったのです。
- 初期:「自分の労働収入(入金)で資産を増やす」
- 中期:「自分の入金 + 運用益で資産が増えていく」
- 成熟期:「資産そのものが、自分の給料に匹敵するお金を生み出す」
この記事では、難しい理論そのものを深掘りするのではなく、「実際にいくらの資産になれば、お金がお金を生む感覚を実感できるのか」を、具体的な数字とともに考えていきます。
R>Gについては、前の記事で詳しく解説しました
「R>G」とは、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』で広く知られるようになった考え方です。本来は、経済全体における「資本収益率(R)」が「経済成長率(G)」を上回り続けるという格差に関する理論です。
この考え方をそのまま個人の資産形成に当てはめることには注意が必要ですが、「資産を持つことで、その資産自体が収益を生み出し、さらに資産を増やしていく」という仕組みは、長期投資を理解するうえで非常に参考になります。
このブログでは以前、私の22年間の経験をもとに「なぜ『お金がお金を生む』感覚が強くなったのか」を書きました。
👉 【内部リンク】投資歴22年|「R>G」は本当だった|投資を続けてわかった「お金がお金を生む」仕組み
今回はその続編です。
理論そのものではなく、「では、実際にどのくらいの資産になると、その力を実感するのか?」というテーマを数字で紐解いていきます。
100万円では、まだ「自分で増やしている」感覚が強い
投資を始めて、最初の目標となる金額の一つが「100万円」です。
仮に100万円を投資して、年間5%のリターンが得られたとします。
100万円 × 5% = 5万円
年間5万円。もちろん貴重なお金ですが、例えば毎月3万円(年間36万円)を積み立てている人からすれば、資産が増えた主な要因は「自分の入金」です。
この段階では、「自分が働いて資産を増やしている」という感覚のほうが強いでしょう。
これは決して悪いことではありません。資産形成の初期段階ではごく自然なことです。最初から運用益だけに頼るのではなく、働いて得たお金から少しずつ投資に回し、元本そのものを大きくしていくことがスタート地点となります。
500万円になると「運用益」が無視できなくなる
では、投資資産が500万円になったらどうでしょうか。
同じく年5%で計算してみます。
500万円 × 5% = 25万円
毎月3万円(年間36万円)の積立を続けている場合、まだ入金額のほうが上ですが、「自分が入金しなくても、資産が年間25万円規模で動く可能性がある」という状態になります。
もちろん、株式市場は毎年きっちり5%ずつ増えるわけではありません。大きく上昇する年もあれば、下落する年もあります。それでも元本が500万円を超えてくると、運用による金額が少しずつ無視できない大きさになってきます。
1,000万円になると「資産が働く」感覚が強くなる
資産が1,000万円の大台に乗ると、感覚はさらに変わります。
1,000万円 × 5% = 50万円
毎月3万円の積立(年間36万円)を行っている場合、ここで大きな変化が起きます。
自分が1年間頑張って積み立てた36万円を、運用による年間50万円の増加額が上回る計算になります。
ここまで来ると、「自分が働いてお金を入れている」だけではなく、「これまで積み上げてきた資産そのものが、自分の代わりに働いてくれている」という感覚が強く湧いてきます。
3,000万円になると「お金がお金を生む」が数字で見えてくる
さらに積み上げて3,000万円になった場合はどうでしょうか。
3,000万円 × 5% = 150万円
年間150万円。月平均に換算すると約12万5,000円です。
実際の株式市場では毎月均等に増えるわけではありません。「今年は+20%」という年もあれば、「今年は−15%」という年もあります。
それでも長期で考えれば、元本が大きくなったことで、同じリターン率でも金額としてのインパクトが段違いになることが分かります。
オルカンへの長期投資を考えるなら「7%」でも見てみる
ここで、もう一つシミュレーション上の数字を入れてみます。
新NISAなどを通じて、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」をはじめとする全世界株式インデックスファンドに長期投資している方も多いと思います。
ここでは、全世界株式への長期投資を考える際のシミュレーション上の参考値として「年7%」を置いてみます。
※これは「オルカンなら毎年7%増える」という意味ではありません。運用会社(三菱UFJアセットマネジメント)も説明している通り、将来のリターンは事前に分からず、過去の実績が将来も続くとは限りません。実際の株式市場では大きく上昇する年もあれば、大きく下落する年もあります。
年5%と年7%。たった2%の違いですが、資産が大きくなると金額の差は明確になります。
資産規模と年間リターンの比較(シミュレーション)
| 投資資産 | 年5%の場合 | 年7%の場合 |
| 100万円 | 5万円 | 7万円 |
| 300万円 | 15万円 | 21万円 |
| 500万円 | 25万円 | 35万円 |
| 1,000万円 | 50万円 | 70万円 |
| 2,000万円 | 100万円 | 140万円 |
| 3,000万円 | 150万円 | 210万円 |
| 5,000万円 | 250万円 | 350万円 |
※年5%・7%で一定運用できたと仮定した単純計算です。実際の運用成果は変動し、元本割れすることもあります。
この表で注目したいのは、利回りそのものよりも「元本の大きさ」です。
- 1,000万円 × 7% = 70万円
- 3,000万円 × 7% = 210万円
- 5,000万円 × 7% = 350万円
同じ7%という数字でも、元本が大きくなればなるほど、「金額としてのインパクト」が格段に大きくなります。これこそが、資産形成を長く続けていると感じる「お金がお金を生む」という感覚の正体です。
「7%なら毎年70万円増える」と考えてはいけない
ここは非常に重要です。
例えば1,000万円を投資しているからといって、「毎年きっちり70万円ずつ増える」わけではありません。株式市場はそんなにきれいには動きません。
ある年は+20%になるかもしれませんし、別の年には−10%になるかもしれません。
長期投資では、毎年同じリターンになるわけではありません。大きな上昇や下落を繰り返しながら、長期的な資産形成を考えていくことになります。
投資では「毎年〇%を確実にとる」ことを目指すのではなく、「変動を受け入れながら、成長が期待できる資産を持ち続ける」というスタンスが大切だと私は考えています。
資産形成の前半は「入金力」、後半は「資産の力」
投資を続けていくと、資産の増え方に対する感覚が変化していきます。
① 資産が小さい頃
- 自分の入金 > 運用による増加
- 「自分が働いて投資資金を作る」段階です。
② 資産が増えてきた頃
- 自分の入金 + 運用による増加
- 積立を続けながら、運用益も資産形成を加速させてくれます。
③ 資産が大きく育った頃
- 運用による増加 > 自分の年間入金額
- 「自分が頑張って入金する」だけでなく、「これまで積み上げてきた資産が自分と一緒に働いてくれている」という感覚になります。
だからこそ、最初の100万円を作り、元本を大きくしていくプロセスが欠かせないのです。
複利の力は「後半」になるほど大きくなる
元本の大きさに加えて、もう一つ重要なのが「時間(複利)」の力です。
例えば、100万円を年7%で運用できたと仮定してみます。
- 1年後: 約107万円(+7万円)
- 5年後: 約140万円(+40万円)
- 10年後: 約197万円(+97万円)
- 20年後: 約387万円(+287万円)
- 30年後: 約761万円(+661万円)
※税金・手数料等を考慮しない単純計算です。
最初の数年間は変化が小さく感じるかもしれません。しかし、時間をかけるほど「利益が次の利益を生む」という複利の効果が働き、後半になるほど資産の増え方が加速度的に大きくなっていくのです。
複利の仕組みについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
👉 【内部リンク】複利の力|長期投資で知っておきたい「時間」が資産を育てる仕組み
「資産規模」と「時間」を組み合わせて考えることで、長期投資の仕組みがより深く理解できるようになります。
投資歴22年で、私自身の感覚も変わった
私が投資を始めたのは22年前ですが、最初から長期投資の考え方ができていたわけではありません。当時は「上がったら売る」という短期的な視点が強く、利益が出れば「儲かった」と喜んで売却していました。
当時は株価の短期的な上下ばかりを見ており、「その資産を10年、20年と持っておくことでどう育つか」という視点が欠けていたのです。
22年が経過した現在は、考え方が大きく変わりました。
「今年いくら儲かったか」という点だけでなく、「この資産をあと何年働かせることができるか」という長期的な視点で資産管理ができるようになっています。
若い人ほど「資産額」より「時間」を味方にしたい
「まだ資産が100万円しかないから意味がない」と考える必要はまったくありません。
資産形成の初期段階では、現在の資産額よりも「時間をどれだけ使えるか」のほうが重要です。
- 30歳から60歳まで(30年間)投資できる人
- 40歳から60歳まで(20年間)投資できる人
同じ利回りであっても、複利が働く期間が長ければ長いほど、将来の成果には大きな差が生まれます。
月1万円でも3万円でも、無理なく続けられる金額からスタートし、時間を味方につけること。それだけで十分な資産形成の第一歩になります。
まとめ|「いくらから実感するか」より、そこから積み上げる
「R>Gは資産いくらから実感できますか?」
この質問に明確な一つの数字を出すことはできません。収入や積立額、運用期間は人それぞれだからです。
しかし、数字を見れば一つの事実が分かります。
- 100万円(5%)= 年5万円
- 1,000万円(5%)= 年50万円
- 3,000万円(5%)= 年150万円
同じ利回りであっても、元本が大きくなるほど「資産が生み出す金額のインパクト」は大きくなる。 これが、私が22年間の投資の中で実感してきたことです。
最初は運用益が小さくても焦る必要はありません。
100万円を作り、500万円を作り、1,000万円を目指す。その過程で、少しずつ「資産が働く」感覚が育っていきます。
投資は、一気に資産を増やすゲームではありません。
小さな元本を作り、それを長い時間働かせる。その繰り返しです。
気づいた「今日」から、将来の自分のために少しずつ資産を積み上げていきましょう。
【免責事項】
本記事は個人の投資体験や考え方をまとめたものであり、特定の銘柄や投資手法の勧誘・推奨を目的とするものではありません。投資には価格変動リスク等があります。最終的な投資判断はご自身の責任と判断で行っていただきますようお願いいたします。


コメント