リーマンショックで手痛い負けを喫し、幾度もの大暴落で含み損に青ざめ、「もう株なんてやめる!」と頭を抱えた夜。それでも市場の底から立ち上がり、投資歴22年を超えた私は、自分のことを半ば呆れを込めて「ゾンビ投資家」と呼んでいます。
これからNISAを始めようとしているあなた。画面の前で頭を悩ませていませんか?
「S&P500とオルカン、結局どっち?」
「日本株は買っちゃダメ?」
「個別株に手を出すのは危険?」
溢れかえる情報に目移りし、最初の一歩を踏み出せずにいるなら、まずは肩の力を抜いてください。22年もの間、何度も相場に叩きのめされながらも生き残ってきたゾンビの結論は、驚くほどシンプルです。
投資の第一歩は「完璧」を目指さないこと
最初に断言します。投資で一番難しいのは「何を買うか」よりも、「長く市場にとどまり続けること」です。
株価が右肩上がりの時は、誰でも投資の天才になった気分を味わえます。本当の試練は、ある日突然やってくる大暴落。自分の資産が何十万、何百万と溶けていく恐怖の中で、淡々と積み立てを続けられるか。
だからこそ、最初から難しい投資をする必要はありません。土台作りは、低コストで幅広く分散されたインデックス投資を中心に考えていいのです。
- S&P500:米国の圧倒的なイノベーション力と株主還元姿勢、成長力に全幅の信頼を置く人へ。
- オール・カントリー(オルカン):「将来どの国が勝つか分からない」という前提で、世界中に丸ごと投資したい人へ。
- TOPIX:長年の低迷を経て企業の変化の兆しが出始めており、これからの成長に期待したい日本株へ投資したい人へ。
どれを選んでも間違いではありません。「自分が一番納得できて、暴落した時にも手放さずにいられるか」それだけが基準です。
なぜ資産の「土台」は米国株や世界株なのか?
私自身、米国株を強く意識しています。それはAppleやMicrosoft、NVIDIAといった世界を代表する巨大企業が数多く存在し、次々と新しいイノベーションを生み出す土台がアメリカにはあるからです。
とはいえ、日本株を愛する気持ちも否定しません。日本企業も「失われた30年」と言われた長期の低迷期を抜け、コーポレートガバナンスの改革や株主還元の強化など、確実に大きな変化の兆しを見せています。「これからの日本企業の成長に期待する」というスタンスでTOPIXなどを通じて自国の変化に投資するのも十分にありな選択肢です。
大切なのは、「100点満点の正解」を探すために足を止めるのではなく、少額からでも市場に資金を投じてみること。 自分のお金が動き出した瞬間、今まで通り過ぎていた経済ニュースが、一気に「自分ごと」として鮮やかに色づき始めます。
慣れてきたら「個別株」という最高の教材へ
インデックス投資で資産形成の土台を作り、値動きに心が揺れなくなってきたら、資産の一部で個別株に挑戦してみるのも面白い選択肢です。
私自身は、インデックス70~80%+個別株20~30%という配分を一案として考えています。もちろん、この割合が万人に当てはまる絶対の正解というわけではなく、あくまで「私ならこうする」という一つの目安です。ご自身のリスク許容度や考え方に合わせてバランスを調整してみてください。
そして、私は個別株を単なる一攫千金のギャンブルではなく、「生きた世の中を知るための最高の教材」だと思っています。
20代で株を始めた頃、私は自分の会社の仕事しか知りませんでした。社会人として自分の担当業務は分かっていても、世の中全体の経済や企業について深く理解していたわけではありません。
ところが、個別株を買うために企業を調べ始めると、世界の見え方がガラリと変わったのです。
- 「この会社は、どんな仕組みでお金を生み出しているのか?」
- 「この業界の競合関係はどうなっていて、これからどう伸びるのか?」
- 「為替が円安に振れると、どの業界が笑い、どの業界が泣くのか?」
- 「金利の上昇は、企業の未来にどう影を落とすのか?」
企業の決算書を開き、ニュースの裏側を考える習慣がついたことで、政治や経済の仕組みが自然と身についていきました。そして振り返れば、自分の会社しか見えていなかった頃には気づけなかった「世の中の動き」を把握できるようになり、その知識や視点が本業のビジネスにも大きく役立っていたのです。
企業を深く知り、その未来を応援しながら長期でじっくり付き合う。これこそが、インデックス投資だけでは味わえない「投資の醍醐味」であり、自分自身の視座を高めてくれる資産となります。
退場しなければ、何度でもチャンスは残る
大暴落の渦中にいるときは「もう世界が終わる」と感じます。けれど、22年以上の投資経験の中で痛感したのは、歴史が証明している通り市場はいつだって傷を癒やし、再び立ち上がってきたということです。
| 投資のステップ | アクション | 狙い・マインド |
|---|---|---|
| STEP 1:土台作り | インデックス(S&P500 / オルカン / TOPIXなど)を無理のない金額で積立 | 「完璧」を目指さず、まずはインデックスを中心に据えて市場に参加し継続する |
| STEP 2:楽しむ | 自分に合った割合(例:資産の20〜30%程度)で個別株へ挑戦 | 企業の決算や社会の仕組みを学ぶ「最高の教材」として活用する |
| STEP 3:継続 | 市場全体が暴落しても、焦って売らず長期目線で投資を続ける | 保有企業の本質的な価値を見極めつつ、退場せずに市場にとどまり続ける |
投資は短距離走ではなく、果てしないロングマラソンです。焦ってスピードを出しすぎる必要も、他人のポートフォリオを羨む必要もありません。
何度転んでも、また立ち上がればいい。退場さえしなければ、資産形成を続けるチャンスは何度でも残ります。
自分のペースで、じっくりと豊かな資産と世の中を見る目を育てていきましょう。


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